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kirino_kousaka アニメBD DVD第1巻に付いてくる特典小説『十年目の再会』について、原作を補完する後日談だと勘違いしている人がいるっぽいから、念のために、ちょっと補足。 kirino_kousaka この短編小説は、最終巻の約十年後のお話で、成長して二代目『黒猫』になった珠希ちゃんが、ある節目を迎えて、十年前を振り返るお話なんだって。 kirino_kousaka まだ物語の結末を知らない人にも読んでもらうものだから、当然、先のお話のネタバレにはならないように書かれているから安心してね。(十年後のあたしが絶世の美女だってのは、当然のことだからネタバレじゃないよね?) kuroneko_daten こんばんは、段々と蒸し暑くなって来たわね。もっとも、我が妖気の膜は、熱気など通さないのだけれど。妖気を操れぬ眷属たちは、くれぐれも体調に気を付けるのよ。 kirino_kousaka こんばんわ、みんな。アニメ第11話の予告が公開中だよ! http //t.co/HjSSz21liu kuroneko_daten 父親に一人暮らしをするよう命じられた京介。しかしそれは始まりにすぎなかった……。襲来する闇天使の刃、そして禁断のアイテムが、かの者の手に…… kirino_kousaka この次も、サービスサービスぅ♪ kuroneko_daten せっかく私が気持ちよく次回予告をしようとしていたのに、途中で打ち切らないで頂戴。 kirino_kousaka ってわけで、次回のサブタイは『一人暮らしの兄貴の部屋に妹たちが押しかけるわけがない』だってさ。 kuroneko_daten 楽しみに待っていなさい。 kirino_kousaka サークルKサンクスのきりりん制服フィギュアが、ちみっちゃくてかわいい。 kirino_kousaka コンプ報告してくれた人たち、ありがとね。 kuroneko_daten 大阪に住んでいる人たちは、暑くて大変だったようね。 kirino_kousaka そうそう、もういっこお知らせ。 kirino_kousaka コラボ小説の第2話「俺の妹が『空間移動能力者』と下着トークをするわけがない」が公開されてるよ! みんな読んでみて! http //t.co/bJHzXPzlp4 (RT @Steptakeyan 静岡でも暑かったけどwサークルKサンクス黒猫のお陰で大丈夫やったよw http //t.co/TOHHeCWYuL) kuroneko_daten あら、意外と制服が似合っているわね。 kuroneko_daten 読んだけれど……コラボしてはいけない二人が出会ってしまったようね。恐ろしいコンビだわ……。 kuroneko_daten それと……私が特別に話してあげたドワンゴと学園都市に隠された『闇』を、軽々しく口外しないで頂戴。 kuroneko_daten ちなみに……このコラボ小説は、全4話構成になっているのだけれど、第3話からはついに御坂美琴と上条当麻が本格的に登場するわ。次回からはテキストの分量も倍増するそうだから、期待していて頂戴。
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アンケートコーナーについて 名前 コメント すべてのコメントを見る ネタでやるときと 真面目な時を分ければいいさ、乳パッドはネタ的には最高に楽しめたから SSのネタにもなったしw -- (夜) 2011-06-10 21 36 29 スレでかんりにんさんが書いてた通りの考えで良いと思うな。スレまとめWiki以上の黒猫ポータルに育ってることは誇るべき。応援させてください。 -- (hie) 2011-06-08 17 47 35 思いつくままに作ってみたけど、実際のところどうなんだろう。 話題の一端として気軽に使えるようなモノとして考えているのですが…… ちょっと判断が難しいので、ご意見お聞かせ願えればと。 -- (管理人) 2011-06-08 02 18 28
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155 名前:【SS】黒猫の逆襲[sage] 投稿日:2011/03/07(月) 00 57 14.75 ID +jSY88kX0 6巻を想定しています。 3巻既読前提です。 あと、別にNTRではありません。 いつもの口ゲンカですw ――深夜0時。 俺は勉強していたが、隣では桐乃がなにやら電話をしているようだった。 ――口調からして黒猫だな。 しかし、うっせーなぁ。 時間が時間だろう。少しはボリュームを落としてしゃべりやがれ。 「――マスケラの二期終わっちゃったけどさー、今あんた、一番面白いアニメってなんだと思う? やっぱり、メル……」 「だから打ち切られたみたいな言い方はやめろ!」 「うわっ!! びっくりしたー」 「……フン、まだ私も他のファンも諦めてないわ」 「ふぅん。ま、いいけどさー。でもやっぱりあの主人公はダメでしょ?」 「な、なに言ってるの、あなた。真夜――漆黒がいなければあのセカイは動かないわ」 「ってかさー、あれ、主人公のくせに目が腐りすぎ。あと、ヒロインになびきすぎなのがキモい。主人公を変えるという前提で3期もしくはOAD希望というのならアンケ出すのに協力してやってもいいよ?」 「――ブチ」 「ん? なんか言った?」 「いえ、別に」 「――フッ、面白い趣向を思いついたわ」 「なになに?」 「今からあなたに質問する。もしあなたが私を満足できるような答えを出せるようなら、――そうね、一日付き人、いえあなたの奴隷になってもいいわよ?」 「キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!」 「ちなみに私が満足できなかった場合でも、別にあなたが奴隷になる必要はないわ」 「なにそれ? ……なんかやけに自信があるじゃん?」 「すでにあなたの苦しみもがく姿が目に浮かんでるからかしら、フフ」 「……なにすでに勝ち誇ってんの? あたしが勝つに決まってんじゃン。じゃ、あんたを奴隷にしたら、まずそうだなー、あのバカ……」 「あのバカ? なぜここで先輩、あなたのお兄さんが出てくるのかしら?」 「い、い、いや、そうじゃなくて!」 「なにかしら、……! ま、まさか『あのバカのはじめてを奪いなさい』とでも言うつもりだったのかしら?」 「な、なに言ってんの! ざけんな!」 「そうやってベルフェゴールに復讐をするつもりわけね? クッ、せ、先輩となんてありえないことだけど、奴隷となった場合は、し、仕方がないわね」 「だから、違うってんでしょ! こ、このエロ猫!」 「あら、以前『こんなんでいいなら、幾らでもあげる。つか、キモいから持って帰ってくんない』と言っていたわよね? ビッチの発言だからお持ち帰りしろということではなくて?」 「そ、そういう意味で言ったんじゃない!」 「フフ。あなたら当然そんな発言はありえないわよね。なら違う意味ということは……」 「な、なによ? またとんでもないことを言うんじゃないんでしょうね?」 「『あのバカとあたしがキスをするところをカメラでおさめなさい』ということ?」 「な、な、な、な!」 「……とんだブラコンね。ま、キスくらいならいいわ。私のEOS kiss x3で記念に綺麗に撮ってあげましょう」 「キスをキスで? って、ち、ちがーーーう!」 「これもちがう? ……ま、まさかあなたの望みは『あのバカとイチャつくところを撮れ』ということ? ……それはさすがにムリね」 「ぐががが……!」 「ククク、あら、ついに人語がしゃべれないケモノになったかしら?」 「……こ、こ、このクソエロ猫ーーーーーー!」 ――深夜0時30分。 俺はまだ勉強していたが、隣ではまだ桐乃が電話をしているようだった。 まじで、うっせーなぁ。 俺が受験生であることを理解しやがれ。 「……ぜーぜー、ク、クソ猫、あ、あんた、わかっていてやったんでしょうね?」 「ええ、すべてわかているわ。『あなたのお兄さんへの気持ち』は」 「だから、ちがーーーーう!」 「あら、私は『あなたのお兄さんへのバカにする気持ち』と認識していたのだけど、違うのかしら?」 「!? そ、そうよ、わ、わかってんじゃん?」 「でも、違うと言ったわよね。やはり『あなたのお兄さんへの愛す……」 「ぬあーーーーー!」 「ククク」 「――決まった。スク水セーラー服ハイニーランドセル猫耳しっぽのかっこであたしのことを『お姉ちゃん』と呼ばせる。絶対に呼ばせる」 「――属性多すぎないかしら? そういえばメガネはないようだけど?」 「メガネはいらない」 「あと、先輩の前でもその羞恥の姿をさらして『お兄ちゃん』と言わなければならないのね?」 「そう――……って! いや、それはなし。想像しただけでキモすぎる」 「あなたって本当に分かりやすいわね」 「なんか言った?」 「別に」 「あっそ。あと、あんただけがペナルティがあるというのはフェアじゃないからあたしが負けたらその格好で奴隷やる」 「本気? あなた私がどういう勝負を仕掛けてくるかまだ分かっていないでしょう?」 「それでもあたしは勝負をする以上、手抜きもしたくないし、フェアでやっていきたい」 「『さすが、私のライバル』とでも言ってておこうかしら」 「あんたなんかライバルのうちに入らないけどねー。ま、今だけならいいけどさー」 「……相変わらずね、フッ」 「……あんたもね、フッ」 「それでもあなたはまだ私が出す勝負内容を知らないからすでにフェアではないと思うわ。だから格好だけでいいわよ」 「ま、いいや、とりあえずわかった。負けたときにまた考えるよ。ま、負けないけどねー」 「では、いくつか前提となる質問をさせてもらうわ。それらを元にして本題を最後に質問するけど、私が想定する質問が出せない場合でも私の負けでいいから」 「……本当に自信があんのね」 「怖気づいたかしら?」 「まさか」 「――あなたが好きなゲームやアニメは『妹と恋しよっ』『妹たちとあそぼ』『おにぱん』『しすしす』……私が覚えているのはこれくらいだけど、これらに共通するのはストーリー、イラストのいずれか、もしくはすべてが良ければ買ったり好きになっているように見えるけど違くて?」 「そうだけど? ……へー、あんたやっぱり分かってきたじゃん?」 「……イラストも良さそうなら『パケ買い』もしていると?」 「買わないで後悔するより買ってから後悔しないと」 「フ、キモオタの鏡ね」 「キモオタではないけど、当然っしょ」 「……なら『妹』もしくは『兄』というキーワードがついてのゲームはどうかしら?」 「どういう意味?」 「つまり、『タイトル買い』をしているかということよ。ゲームタイトルに『妹』もしくは『兄』というものがついていれば」 「出来ればそうしたいけどねー、妹ゲー好きのあたしとしては。でも、さすがにそれやるととあたしのコレクションを置く場所がなくなっちゃうからそれはよしてる」 「なるほど。或る程度調べてから購入しているというわけね」 「そういうこと」 「もし調べてから、それが、ストーリーが空虚、つまりあの手のCGが90%以上の、いわゆる男性向け実用重視だったと分かったとしても買うと?」 「そ、そ、それはイラスト次第かな」 「ふーん、そうなの、フフ」 「な、なに。いーじゃん、か、可愛ければ、さ」 「そうね。可愛ければね」 「なにか文句ある? ……なんかまわりくどいなー、さっさとしてよ」 「では本題に行くわ。答えてみなさい。……答えることが出来るのならば」 「……言ってみなさいよ」 「あなたはなぜ『鬼畜兄貴』を買ったのかしら?」 「――え!?」 「私の質問がこれよ。……あのとき、あの沙織からのお題ゲームのとき、あなたが強烈なプレッシャーを放っていたために、さすがの私でもひるんでしまって聞くことが出来なくて流してしまったけれど」 「え、え、え、え、え、え、」 「あら、答えられないのかしら?」 「ちょ、ちょ、ちょ」 「うんざりするほどあなたから『メルル』や『しすしす』はいろいろ話を聞かせてもらったけど、確かに……これらが大きいお友達向けであったとしても、なんとかあなたがファンになるというのは分かる。でも、『鬼畜兄貴』だけはどうしても理解出来ない」 「い、いや、あれはだから、あれはホモゲーだったことが分かったんだけど……」 「それは、買ってからの話。私が聞いているのは『なぜ買ったのか』ということよ」 「そ、そ、それは」 「まさか今更純情少女のふりをして『鬼畜』という言葉が理解できないわけではないでしょうね?」 「い、い、いや」 「『鬼畜』というキーワードから残酷で精神的苦痛をあたえる行為、または性的行為を含む非道な行為と関連することが容易に想像できるでしょう。もしこのタイトルを含んだゲームを作るとしたら、ストーリーを必要としない、口にすることすら汚らわしいくらい、女性を人として扱わない、淫靡な内容になるとしか考えられないけど、どうかしら?」 「く、く、」 「『鬼畜兄貴』というキーワードを見て、『キタコレ!』と思って、思慮が働かずに購入したのではなくて?」 「う、う、う、」 「しかも絵師が誰かなども、ましてやメーカーも調べずに」 「あ、あ、あ、」 「つまり、実はあなた、……ククク……本当は、深層心理では、嬲られて陵辱されるくらいにメチャクチャにされ……」 「あ、あ、あ、あ、あ、あたしがあいつとそんなことをするなんて望んでるわけが……!!」 「あら? 私は『嬲られて陵辱されるくらいにメチャクチャにされるゲームの妹を見るのが楽しいのでしょ』と言おうとしただけど? ……これでも相当アレな人にしか見えないけど。 ……別に『あなたのお兄さん』のことは一言も言っていないけど?」 「ぬあぁあああああああああああ!」 「フフフ……あなたのそういうところが一番かわいいわ」 「い、いや、だからーー!」 「ふぅ、まあ、いいわ。私の気は済んだわ」 「……え?」 「勝負はなし。ノーカウントで結構よ」 「…………くっ、いい。別に負けだと思ったわけじゃないけど、勝ったとも思ってない」 「あら?」 「あたしがペナルティを受ける」 「……私は結構って言ったけど?」 「いい! やってやるわよ! やればいいんでしょ!」 「往生際が悪いというか、潔いというべきか。まあ、分かったわ。では受けてもらいましょう。次の日曜日にでも…………」 ――日曜日 俺は勉強していたが、隣では桐乃たちがバタバタとうるさい。 どうも黒猫が来ているらしいが。 で、朝飯の後、 「今日、絶対にあたしの部屋に入んないでよ! 入ったら殺す! 確実に殺す!」 と、命令された。 命令しなくても、お前の部屋には鍵がついているんだから入れるわけないだろう。 『……あら、来客にお茶やお菓子は出すのは当然でなくて?』 『……く、あんた、別に奴隷やらなくてもいいつったじゃん。』 『……それは別に奴隷とは関係ないでしょう。いつもお茶くらい出してくれたわよね?』 『……わかったわよ、じゃ、ちょっと待ってて。服……』 『……あら、お茶だけなのに、そんなに時間がかかるの?』 『……ぐぬぬぬ、わ、わかったわよ! 今すぐ出せばいいんでしょ!』 また、いつものようになんか張りあってんな。 ま、いいか。 勉強頑張ったせいか、のどが渇いたからなんか下で飲むか。 ガチャ。 ……ガチャ。 俺が部屋から出たら、桐乃も部屋を出るところだった。 ………………。 時が止まった。ような感じがした。 なぜそのように感じたかというと、俺も桐乃(?)も止まったからだ。 ただ、桐乃(?)は微動だにせず、しかしどんどん真赤になっていく。 ……えと、上だけ制服? パンツじゃなくて水着だよな? ハイニーソックス? 猫、いやきつね耳? しっぽ? で、なんでランドセル? あと、これ桐乃? 何も認識できない。 そこで、かろうじて出てきた言葉は、 「……おまえ、そのコスプレ、なに?」 「死ねーーーーっ! このシスコンッー!」 俺は気を失う前に、本当にあれはなんのゲームのコスプレか考えてしまった。あんな格好のキャラクタが出ているエロゲーってやったっけ? おわり。 -------------
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茹だるような暑さの中、軒下に吊るした風鈴の音が耳に心地よい、そんな真夏の昼下がり。 「ふ~、食った食った。ごちそうさん」 俺は皿一杯に盛られていた昼食のそうめんを平らげ、満腹感に一息ついたところだ。 「はい、お粗末さまっ♪」 軽やかにそう答えたのは、キャミソールにホットパンツ姿、その上から可愛らしいエプロンを身に付けた美少女。 空いたお皿を重ねる仕草に、二本のお下げ髪がふわふわと揺れる。 歳相応に育った女の子らしい体躯だが、色香よりはまだ健康的な印象が先に来るような、笑顔の眩しい女の子。 それは――“15歳になった日向ちゃん”の姿だった。 ――と言っても、ここは数年後の未来ってわけじゃない。 細かい事情は省くが、ここは16歳の黒猫と、15歳の日向、14歳の珠希ちゃんが存在する世界。 まあ、俗に言う〝平行世界(パラレルワールド)〟ってやつだ。 更には、ここでは俺はその三姉妹の「義理の兄貴」ということになっていたりする。 以上、前作の説明終わり。 まあそんなわけで、今は夏休みの真っ只中。 黒猫と珠希ちゃんは午前中からバイトに出掛けていて、家には俺と日向の二人だけ。 長期出張になっている両親から生活費は送られてきているのだが、兄妹4人を養うのはそれでも結構大変で。 黒猫と珠希ちゃんはアルバイトで家計を助けているってわけだ。親孝行な娘たちだよな、大したもんだ。 何でその二人だけかと言えば、俺と日向は今年受験なので、進学するまでは学業優先でバイトは免除ってことらしい。 「片付けなら俺がやるぜ? 昼飯作ってもらったしな」 「ヘーキだよこのくらい。それに、作ったって言ったって、あたしじゃこんな簡単なものしかできないしさ」 てきぱきとお皿を流しに運ぶ日向だが、何処となく申し訳なさそうな口振りだったりする。 と言うのも、両親が長期不在なため、当面の家事は兄妹で当番制。 料理に関しては基本黒猫がメインだが、日向や珠希ちゃんも週に1~2回は当番が回ってくるのだ。 そんな中、料理は大筋で何でもこなすが、メニューが和食寄りな黒猫と。 それに対するように、珠希ちゃんのほうは洋食のレパートリーを増やしつつある。 ……ホント、黒猫を器用と言うなら、珠希ちゃんは多才と言うか。やたらスペック高いんだよなぁ。 一方の日向は、今のところそれほど凝った料理は作れない。 性格が割と大雑把なせいか、あまり手の込んだレシピは不得手のようだった。 俺にしてみれば、立派に食えるモンが作れるだけ十分大したもんだと思うが……。 だがどうやら日向はそのことを少し気にしているらしい。 「まぁそう言うなって。旨いモン食わしてもらった礼だ」 「え……、お、美味しかった?」 「おう」 俺のその言葉に、日向は頬を赤らめてもじもじしている。 よく分からないが、やけに嬉しそうだ。 別にお世辞を言ったつもりは無いんだがな……実際旨かったし。 「お、お礼って言うならさ。片付けはいいから、後でちょっと……お願いがあったり……」 「ん、何だ?」 「その……、べ、勉強……見てほしいんだケド……」 「勉強?」 何だ、そんなことか。 思えば11歳のこいつも、よく宿題を教えてーってせがんできたっけ。 それを今更「お願い」とか、何を気兼ねしてるんだか。 「あっ、でも……キョウ兄ぃも自分の勉強あるし、忙しかったら別にっ……」 「アホか」 俺は、わたわたと手を振る日向の横に並び、その頭をくしゃっと撫でる。 「にゃっ?」 「お前が遠慮なんかする柄かっての。んなもん、お礼と言わずにいつでも見てやるって」 「ほ、ホントっ?」 「ああ。それ終わったらちゃぶ台のとこに勉強道具持って来いよ」 「……うんっ!」 ぱあっと明るい笑顔になって、元気良く返事をする日向。 こいつ、“黒猫”の妹なのにどこか“犬っぽい”ところがあるんだよな。 こうやって構ってやると、反応が素直というか、すぐ表情に出るというか。 尻尾が付いてたらさぞぱたぱたと振られていそうだ。 やっぱり日向はこうやって笑っていたほうがこいつらしい。 ま、たまには兄貴らしく、妹の面倒を見てやるとしますかね。 ☆ 後片付けを済ませ、日向が自分の部屋から教科書やらノートやらをお茶の間のちゃぶ台へ運んでくる。 何でわざわざここで勉強するのかというと。 ――昭和の香りを色濃く残すここ五更家には、当然クーラーなんてものがあるわけもなく。 冷房器具は茶の間にある扇風機ひとつだけだからだ。 まあ、元々俺もそれ程クーラーに頼ってたわけじゃないし、扇風機ありゃ上等だ。 逆にそっちのほうが集中できる位だな。 「にゅふ、キョウ兄ぃに勉強見てもらうなんて、スゴイ久しぶりっ」 「そうだっけか?」 割と良く宿題を手伝わされている気がするが……って、そりゃ“日向ちゃん”のほうか。 この歳ともなるとちゃんと一人で頑張ってたのかね。感心感心。 「さて、何からやるか」 「うーん……、じゃあ数学からにしよっかな」 教科書を広げ、ぺらぺらとページを捲る。 おおぅ、ちゃんと中3の教科書だぜ。いや、この世界じゃ当たり前なんだけどね。 こうして改めて目の当たりにすると、その事実を実感するというか。 こいつももう受験生なんだよなぁ……。 ん? 受験といえば。 「そういやお前、高校どこ受けんの?」 ふと頭に浮かんだ質問を投げかけてみると。 「……え、えっと……、…………キョウ兄ぃと同じとこ……」 日向は一寸口籠もった後、少しだけ言い辛そうに答えた。 「弁展? ……自分で言うのも何だが、あそこ結構偏差値高いだろ。お前そんなに頭良かったっけ?」 うん、我ながら失礼な台詞だとは思う。 でも11歳のこいつは、夏休みの宿題を最後の三日間で泣きながらやるような、お世辞にも勤勉とは言えない子だったはず。 黒猫もよくそれで頭を悩ませていたっけなぁ……。 それとも、こっちの世界じゃ割と賢い子だったりするのか? 「う、うるさいなっ。……だからちょっとガンバってるんじゃん」 ちょっと剥れて、拗ねたような返事を返す日向だった。 ……なるほど、どうやら頑張らないとヤバい程度には元のままのようだ。ちょっと安心したぜ。 安心というのも語弊があるが、あんまりイメージが変わっても困るしな。キャラ崩壊になりかねん。今更という気もするが。 まあ、何にせよ目標を持つのはいいことだと思う。 『目標を高く掲げ、自分自身が納得できるまで、それに向かって全力を尽くす』 ――お前の姉ちゃんも、そうだったからな。 「ふむ。それじゃまあ、その頑張りを見せてもらうとするか」 「任せてっ! ……っと、チョットだけ待ってね」 俺の言葉を一旦遮り、日向は教科書の山の中から朱色の小さなケースを取り出す。 その蓋を開け、その中に納められていたある代物を取り出し、それを自らの両目に翳した。 それは――人類の叡智が生み出した、至高の装具。 その名を、『眼鏡』――! 「……め……ッ、……眼鏡っ娘……だと……!?」 「ん? あれ、キョウ兄ぃの前でかけたことなかったっけ」 「お……お前、いつから……?」 いつから、俺が眼鏡っ娘萌えだと知っていた……ッ!? 「最近だよ? ガンバりすぎちゃったせいか、少し視力が落ちちゃって……。でも、勉強するときだけだよ、かけるの」 「そ、そうか。そういうことか……ちょっと焦ったぜ」 「んにゃ? なんでアセるの?」 「いや、こっちの話だ。気にするな」 一瞬、俺の嗜好を突いた精神攻撃かと思ったが、どうやら天然ものらしい。 この反応だと、俺の眼鏡属性はこいつには知られてはいないようだ。 ほっと胸を撫で下ろす。知らないならそれに越したことはない。 兄として、あまり妹たちに弱みを握られるのは芳しくないからな。 「ホントはコンタクトにしたかったんだけどさー。 キョウ兄ぃのことだから、どーせあたしが眼鏡かけると『地味だ』とか言うだろうし」 「いや! 眼鏡でいいッ! 眼鏡最高!!」 思わず力説してしまったが、ここは断言せざるを得ない。 眼鏡こそ人類の至宝! コンタクトなど邪道の極み!! 「わっ、ど、どーしたのっ。急に大声出してさ」 「あ、いや……その、何だ。眼鏡のほうが、お前には似合ってるよ」 「え……ホントに?」 「ああ」 と、まあ、場を取り繕うために出た咄嗟の台詞ではあったが。 俺的眼鏡補正がかかっているとは言え、実際可愛らしい赤いフレームの眼鏡はこいつに良く似合っていた。 日向が言うほど地味な印象は無く、むしろお洒落なアクセサリーにすら見える。 これを選んだのが日向自身だとしたら、意外といいファッションセンスを持っているのかもしれない。 「……えへへ、そう言ってもらえると嬉しいな」 ほんのりと頬を朱に染めてはにかむ日向(眼鏡装備)。 うぐっ……こ、これは本当にやばい。何この眼鏡っ娘、反則的に可愛いぞ……!? これがエロゲーのイベントシーンだったら、プリントスクリーン押して壁紙にしているところだ。間違いなく。 にしてもあの地味猫が、まさかこんな隠し技を持っていたとは……。 とりあえず今はこいつが妹の立場で良かったぜ。そうでなければ自制が効かなかったかもしれん。 「よーし、張り切って勉強するぞーっ!」 褒められて気を良くしたのか、日向は勢い良く広げた問題集に取り掛かった。 まずは余計な口出しはせずに、お手並拝見といこう。 ――それにしても、眼鏡といえばこの世界の俺は『秘蔵コレクション』を一体何処に隠しているんだろう。 ベッドの下か、押入れの奥か。和室だし、畳の裏という手もあるか? はたまた天井裏という可能性も……。 とにかく、後で確認しておかないとな。今度こそ、俺の尊厳は断固として死守せねばなるまい――! と、人が勉強している隣でそんな不埒なことを考えているうちに、日向のほうは一通りの設問を解き終えていた。 問題集を受け取り、その答え合わせをする俺に、日向が自信なさげに問いかけてくる。 「……どう、かな」 「ふむ……。確かに、頑張った成果が顕著に現れているな」 算数の宿題でひーひー言っていた頃の日向ちゃんに比べたら、その差は歴然と見て取れる。 だが、それでも細かいところでのミスが目立ち、正直弁展に合格できるかと言えば微妙な線ではあった。 「……目標を持って頑張るのはいいことだと思うが、無理して弁展目指さなくてもいいんじゃないか? 別にそこじゃなくても、もっといい高校は他にいくらでもあるだろ」 つい、そんなことを口に出してしまう。 だがこれは、別に暗に諦めを促しているわけじゃない。 一言言っておかないと、こいつは自分の身体の限界を超えてまでも無理をしそうで心配になったからだ。 実際に、多少なりとも視力が犠牲になっているのは確かなんだし……。 「……うん。自分でもさ、ちょっと厳しいかなとは思ってるんだけど……。でも、やっぱり弁展行きたいし」 「何でそんなに拘るんだ? 特別そんなにいいところでもねえぞ?」 「いいところとかじゃなくて……、キョウ兄ぃと同じ高校に行きたいんだもん」 ……何とも単純な理由だった。 まあ、薄々そんな気はしていたが。 「そう言ってもらえるのは嬉しいが……、お前が来年弁展に入学したとしても、俺は今年で卒業になっちまうんだぜ?」 「うん……分かってるけど」 「あ、でも黒猫がいるか。あいつまだ一年だし、お前が入学してから2年は一緒に通えるな」 「……ルリ姉が、羨ましいな」 「ん?」 「だって、1年間だけだけど、キョウ兄ぃと一緒に学校に通えるんだもん」 寂しそうに呟く日向。 例え同時期に通うことはできなくても、それでも俺の歩いていた道を追いかけたい、ということだろうか。 「はぁ……、キョウ兄ぃが留年してくれれば一緒に通えるのにな……」 「縁起でもねえこと言うなよ。……まあ、何だ、高校は無理でも、大学なら一緒に通える時期もあるだろ?」 「えっ?」 この世界での俺と日向は3歳違いだから、ストレートに行ったとして、四年制の大学なら1年間は一緒に通える計算だ。 「……そっか、大学まで行けばキョウ兄ぃに追いつけるんだ……」 「まあ、お前にその気があればの話だけどな」 「……うん。そうしたい。――そうなれたら、いいな」 少しだけ表情を明るくした日向の頭を、ぽんぽん、と軽く撫でてやる。 「……き、キョウ兄ぃ?」 「だったら、高校受験くらいで躓いてもらっちゃ困るな。仕方ねえ、ちゃんと合格できるレベルになるまで面倒みてやるよ」 「ほ、ほんと!?」 「おう。この成績優秀な先輩に任せとけ」 大見得を切って胸を張る。 正直どう転ぶか分からないが、乗りかかった船だ。 まず教える側の俺が、自信の無い素振りを見せるわけにはいかないからな。 「……で、でも……キョウ兄ぃだって自分の受験勉強あるし、メイワクじゃ……?」 「だからそんな遠慮すんなってさっきも言っただろ? 俺は今更慌てて勉強しなくても十分合格圏内だっての。 それに、人に教えるっていうのも結構いい勉強になったりするんだぜ?」 「そ、それならいいケドっ。……キョウ兄ぃと一緒に勉強かぁ~、にゅふふっ」 随分と嬉しそうな様子の日向を見て、俺はつい失笑を漏らしてしまう。 なんというか、遊園地に遊びにいく約束をした子供みたいな反応だったんだよ。 勉強するのがそんなに楽しみなのかね? 「むぐ……そ、それにしてもさ、キョウ兄ぃのクセに頭イイなんて、世の中オカシイよねっ。基本へたれなのにさーっ」 「お前な……前言撤回するぞ?」 「わっ、嘘ウソ! お願いします、先生っ!」 そんな俺に対してちょっとだけ憎まれ口を叩く日向だが、まあ半分は照れ隠しだろうから今回は大目に見てやろう。 「よーし、なんかすっごくやる気出てきたー!」 腕まくりをする真似をして、日向は再び問題集に取り掛かった。 どうやら、やる気は十分。……となれば、もう一押ししておくか。 「――そうだな、頑張って来年見事弁展に合格した暁には、お前の欲しいもの何でもひとつプレゼントしてやるよ」 後は、このやる気を持続させること。 モノで釣るというのもあざとい気がするが、それなりの効果はあるだろうからな。 「な、なな、何でもっ?」 「ああ。でも、俺の懐事情の許す範囲にしといてくれよ?」 「……そ、それなら、お金のかからないもので……ひとつお願い、しちゃおうかな……っ?」 「遠慮しなくていいんだぞ? 滅多にない機会なんだし」 普段は横柄に振舞って見えるが、こいつ性根は結構謙虚なのかね? そんなら余計に、こんな時くらい多少の我侭も聞いてやりたくなるってもんだ。 「うん、だから……一番欲しいもの、お願いしようかな……って」 「おう。何でも言ってみろ」 お金のかからない、でも一番欲しいもの……ねぇ。 まあ本人がそう言うなら、俺は全力でそれを叶えてやるだけだが。 返答を待つ俺に対し、日向は大きく息を吸い込み、意を決するように言った。 「そ、それじゃっ……、あ、あたしが合格できたら、キョウ兄ぃと……き、キ……」 「き?」 ……何だ? ぼっ、と顔を真っ赤にした日向は、口籠もって言葉尻を濁す。 お陰で、肝心なところが聞き取れなかった。 「すまん。もう一度言ってもらえるか?」 「……だっ、だから、……あたしに……キ、……キ……」 「――キス、ですか?」 …………。 「「 う わ あ ぁ ぁ ぁ ー ー っ ! ?」」 不意に割って入る、この場に存在しない筈の第三者の声に、俺と日向は文字通り飛び上がった! 見ると、いつの間にか日向の背後に見慣れたゴスロリ服姿が佇んでいる。 だが、服装は見慣れたものであっても、身に纏う少女は俺の記憶の中のそれとは違っていて。 肩口に切り揃えられた髪、まだあどけなさの残る顔。 小ぢんまりとした背丈に、アンバランスな胸元の丸い膨らみ。 そこにいたのは、14歳に成長した“この世界の珠希ちゃん”だった。 「な、ななな、な……っ!」 「まったく、ちょっと目を離すと油断も隙もないですね、お姉ちゃんは。私たちの留守を狙って、兄さまにちゅーをねだるなんて」 「ち、ちゅー!?」 「うわーっ! うわーっ!? 何でもない、何でもないっ!」 大声を出す日向は、さっきよりも更に顔を上気させてじたばたと悶えている。 しかし『ちゅー』って……。流石の俺も一瞬驚いたが、珠希ちゃんは日向が俺にまさか『キス』をお願いするとでも思ったのか? んなばかな。だって俺たち兄妹だぜ? その証拠にホラ、日向もこんなに動揺してるじゃねえか。それだけ心外だったってことだろ? 「て、てか珠ちゃんっ、帰ってきたなら『ただいま』くらい言ってよっ!」 「だって、お姉ちゃんが二人きりなのをいいことに兄さまを誘惑してるんじゃないかと思って、こっそり偵察を」 「し、してるワケないでしょー! ていうか珠ちゃんだけには言われたくないよ!?」 「ちゅーしようとしてたくせに」 「ししし、してないからッ!」 ……相変わらず、こっちの世界の日向と珠希ちゃんは張り合うなぁ。 まるで誰かさんたちを見ているようだ。 まあどっちにも言えることだが、別に仲が悪いってわけじゃなくて、どっちかっていうと子猫同士のじゃれあいって感じだが。 「それにしても珠希ちゃん、随分早いな? いつもバイトは夕方までじゃなかったっけ」 傍観しているわけにもいかず、やんわりと横槍を入れてやる。 時計を見ると、まだ午後2時を廻ったくらいだ。 「今日は夕方からみんなでお祭りに行く予定じゃないですか。だから少し早く上がらせて貰ったんです」 あれ、そうなの? 言われてみれば、今日は近所で毎年花火大会がある日だったっけ。 「そういうわけでお姉ちゃん、いつまでも油売っていていいんですか?」 「へ?」 「今日のお買い物、お姉ちゃんの当番ですよね? 早く行ってこないと、出掛ける時間に支度が間に合わないんじゃないですか?」 「うわ、そうだった!」 珠希ちゃんに言われて、日向はあたふたとちゃぶ台の上の勉強道具を片付け出す。 「あんまり急いで、眼鏡外し忘れるなよ?」 「わわっ」 慌てて眼鏡を外し、ケースに仕舞う。 ……俺が言わなきゃ、そのまま出掛けて行っただろうことは想像に難くない。それもアリっちゃアリだが。 「眼鏡……?」 その言葉に反応し、珠希ちゃんが訝しげな声を漏らした。 「あれ、珠希ちゃんも知らなかったのか? 何か最近視力が落ちたとかで、勉強のときは眼鏡かけてるんだと」 「へぇ……そうなんですか」 何か思うところでもあるのか、珠希ちゃんは顎に手をやり、俺と日向の顔に交互に視線を投げる。 「……まさか、〝最終宝具(ラグナロク)〟まで持ち出して兄さまを誘惑するなんて……。いよいよ本気で……?」 「へ? らぐな……って、何、またいつもの厨二病(びょーき)?」 「 何 で も な い か ら !! ほら、とっとと買い物行ってこい、な!?」 「わ、分かったから押さないでってば!」 勉強道具を抱えた日向を、半ば強引に部屋の外へ押し出し襖を閉める。 その足音が自室のほうへ遠ざかっていったのを確認し、ほっと一息。 というか、だ。 「 何 故 お 前 は 知 っ て い る !?」 「……ふふっ、この千葉の魔天聖〝聖猫〟の〝真眼〟を以ってすれば、兄さまの隠し事なんて全てお見通しです」 ……こ、怖え。正に適齢期の厨二病も然ることながら、この珠希ちゃんは何というか、底が知れない空恐ろしさがある。 そもそも、何処となく11歳のときとキャラが重なる日向に対し、珠希ちゃんは6歳のときとは全く違う。 今の珠希ちゃんは14歳に成長しているわけだから、そこには8年の歳月の経過があるわけで。 倍以上の年齢になっているんだから、性格や言動が一変していても不思議はない……といえばそうなのだが。 それにしたって……“どうしてこうなった”と言わざるを得ない……。 「私が最後の手段として取っておいたのに……まさかお姉ちゃんに先を越されるなんて」 「……何を企んでいたのかは怖いから聞かないが、日向は別にお前が思ってるような効果を狙ったわけじゃないようだぞ?」 「そうみたいですね。……それなら、このことはまだ私と兄さまの二人だけの秘密、ってことにしておきましょうか」 「……そうしてくれると嬉しい」 下手をすると公開処刑になりかねんからな。 ここは願ってもない提案を有難く受けさせて貰おう。 ……しかし、よりによって一番知られたらまずい相手に知られてしまった気がする……。 そんなやり取りの中、先程日向を押し出した引き戸が再び開き、バッグを提げた日向がちらっと顔を覗かせた。 「それじゃ、ちゃちゃっと行ってくるケド……二人だけになってもヘンなことしたらダメだからね!」 「するかっ!」 「変なことって何ですか?」 釘を刺す日向に対し、ぽややんと天然口調で返す珠希ちゃん。 こういうときの珠希ちゃんは、厭味も邪気もまるで感じないから余計に始末が悪いんだよな……。 その証拠に、日向もそれ以上強くは言えず。 「と……とにかく! キョウ兄ぃ、お願いね!」 「分かったから、妙な心配してないでさっさと行ってこいっ」 俺の言葉に、渋々といった感じで日向は買い物に出掛けていった。 ――そうなると、この家に今度は珠希ちゃんと二人きり、ということになるわけだが。 日向にはああ言ったものの、正直嫌な予感しかしない。 天然珠希ちゃんはともかく、小悪魔モードの珠希ちゃんにどう対処していいのか。 ぶっちゃけ、未だに良く分からん。 果たして、俺の理性はどこまで耐えられるんだろう……。 「――それじゃ兄さま、私はお先にシャワーを頂いてきますね」 「し、しゃわー!?」 にわかに発せられたその単語に、つい過敏に反応して声色が裏返ってしまう。 くっ、我ながら情けないことこの上ない。 「? 早くしないと、後で姉さまたちも使うでしょうし」 「あ、ああ……そうだよな。夕方から出掛けるんだったか」 どぎまぎする俺に対して、珠希ちゃんはおっとりした調子で小首を傾げている。 い……いかんいかんっ。一体何を想像しているんだ、俺は。 これじゃ、単に俺が意識し過ぎなだけじゃねえか。 いくら魅力的な女の子に成長しているとはいえ、今の珠希ちゃんは妹なんだからな。義理だけど。 平静を取り戻そうと大きく息を吐く俺に、ふと珠希ちゃんが耳元で囁く。 「……あの、兄さま?」 「ん?」 「……覗いちゃ、駄目ですよ?」 「覗くかッ!!」 俺が平常心を保とうとしてる矢先にこれだよ! これだから苦手なんだよ、“この珠希ちゃん”はっ! 「ふふっ。意気地なしですね、兄さまは♥」 くすくすと笑いながら、珠希ちゃんはお風呂場のほうへ去っていった。 くそっ、姉妹揃って似たような捨て台詞を吐きやがって。 意気地とか以前に、俺はお前の兄貴だっての! ……はぁ……、納得いかねえ……。 ☆ ――その後しばらく、俺はお茶の間で勉学に勤しんでいた。 別に、珠希ちゃんに妙な誘惑をされたからじゃないぞ? 何かに没頭していれば、余計なことを考えずに済むからな。 一意専心、煩悩退散――。 そのあまりの集中力に、引き戸が開かれた音にも気付かなかったくらいだ。 「あの……兄さま?」 掛けられた声に顔を上げると、いつの間にか珠希ちゃんが襖の横に立っていた。 集中していたせいか時間の経過が早く感じられるが、あれから既に小一時間が経過していたようだ。 シャワー上がりの珠希ちゃんは先程のゴスロリ服ではなく、白いブラウスとキュロットスカートといった部屋着に着替えている。 首に巻かれたタオルに触れる、まだ濡れた髪が少しだけ艶かしい。 「ん、どうした。そんなところに突っ立って」 「その……ご一緒に風に当たらせてもらってもいいですか?」 しおらしく訊ねてくる珠希ちゃん。 風……って、ああ、湯上りだから扇風機で涼みたいわけか。 そのくらい、いちいち断りを入れることもなかろうに。 「全然構わないぞ。つーか、そんなことで気ぃ使うな」 「……ふふっ、そうですね。ありがとうございます。兄さま♥」 無邪気な笑顔を浮かべ、珠希ちゃんは俺の元へとやってくる。 それは何処となく、『ご本を読んでください』とせがんで駆け寄ってくる6歳の頃の姿に重なった。 こういうところが、やっぱり珠希ちゃんだと思わせるんだよな。 何だか少しほっとするぜ。 「兄さま、少し座を引いてもらえますか?」 「うん? ……こうか?」 そう言われて、俺は座っていた位置を座布団ごと少し後ろにずらす。 風に当たりたいなら扇風機のほうを動かせばいいものを……まあ別にいいけどな。 「それじゃ失礼して……ん、しょっ……と」 「んがっ!?」 思わず素っ頓狂な声をあげてしまう俺。 だって、それも仕方ないだろっ。 珠希ちゃんは、当然といったように“俺の膝の上”にその腰を下ろしたんだから! 「な、ななっ……なんでわざわざそこに座んの!?」 「何でって……兄さまが遠慮しなくていいって言ったんじゃないですか」 勿論、当の珠希ちゃんには悪びれた様子など微塵も無く。 「いや、言ったけどね!? それは扇風機に当たりたいって言うからでっ。てか、風に当たりたいなら扇風機を動かせばいいだろ!」 「駄目です。言いましたよね、『一緒に風に当たっていいですか』って。だから、兄さまも一緒に風に当たれるこの位置じゃないと」 至極尤もらしいように言ってはいるが、屁理屈にしか聞こえねえ! 「それに、兄さまの膝の上は私の〝領域(テリトリー)〟って、幼い頃から決まっているんですよ? ふふっ」 た、確かに、6歳の珠希ちゃんは何かと俺の膝の上に座ってきていたが……っ。 三つ子の魂百まで、とは言うが、6歳の頃の習慣って14歳になっても続くもんなの!? いや、だからと言ってこれはマズいだろ! あなた、黒猫姉妹の中で一番ちっちゃいけど、いわゆる“女の子パーツ”の発育だけは一番いいんですからっ! こう、膝の上に感じるあったかくて柔らかい感触が、健康な男子にとっては物凄く危険なんです! 「そっ、そうは言ってもだな……っ」 「きゃんっ。……あまり動かないでください、兄さま。くすぐったいです」 もぞもぞと体を動かしこの体勢から逃れようとしたが、珠希ちゃんの甘い声に阻まれてしまう。 つーか、動くと一層ヤバいことが分かった。 珠希ちゃんが膝の上で揺れる度、何というか……女の子特有のぷにっとした弾力が直に伝わってきて……! 「ちょっと涼むだけですから。その間だけ……駄目ですか?」 珠希ちゃんは、座った姿勢のまま顔だけ振り返り、上目遣いで背後の俺を見上げてそう懇願する。 湯上りで火照った表情。その中で真っ直ぐに俺を見つめる、潤んだ二つの瞳――。 くっ、何て強力なおねだり攻撃なんだ……! 可愛い妹にこんな顔をされたら……シスコンの俺が断れるわけないだろ! 「わ、分かったよ。……少しの間だけだからな」 「ふふっ、ありがとうございます、兄さま……♥」 そう言って、珠希ちゃんは安心したように俺の胸にその背中を預けてきた。 薄布を通じて伝わってくる温まった体温と、柑橘系のシャンプーの香りが、俺の五感を擽る。 涼むどころか、余計に熱が上がる気がするんだが……、そう思うのはまた俺が意識し過ぎなせいなのかね……。 はぁ……と、ため息混じりに膝の上の妹姫を見下ろすと。 ……胸元が大きく開いたブラウスを着た珠希ちゃんの、零れんばかりの白い双丘が俺の視界に飛び込んできて――! 「――――ッ!?!?」 ヤバい、この上なくヤバいものを見てしまったッ! つーか割とはっきり見えたぞ!? も、もしかしてその下に何も着てないの!? ぐっ……ま、マズい……ッ! こんな密着した状態で“本能(リヴァイアサン)”を目覚めさせてみろ、それこそ兄の沽券に関わる……ッ!! 慌てて俺は手元の参考書を目の前に広げ、数式を片っ端から頭の中に放り込む。 色即是空、心頭滅却、記憶抹消――ッ! 「? どうしたんですか、兄さま?」 珠希ちゃんがまた肩越しに振り返り、怪訝そうに問い掛けてくる。 気持ちは分かるが、今は参考書から視線を逸らすわけにはいかない。絶対にだ。 もう一度アレを見てしまったら、そこで俺の人生はジ・エンドだ……ッ! 「い、いやっ、何でもないっ。只の勉強の続きだっ」 「……そうですか。兄さまも、少し休憩にしたらいいのに」 ちょっとつまらなそうに言って、珠希ちゃんは再び俺にもたれかかる体勢に戻った。 そうして俺は、気付かれない程度に数回深呼吸をして内なる動揺を鎮める。 すぅ……はぁ……、落ち着け、俺……っ。相手は妹……、そう、この世界では妹なんだ……っ。 「このブラウス、もうお胸のところがきつくてボタンが上まで留まらないんですよね」 「だったらサイズの合った服を着てくださいお願いします!!」 壮絶に突っ込みを入れる俺だった。 こ、この子は……っ! 分かっててやってる小悪魔なのか、それとも天然の為せる業なのか、もう全く判断が付かん!? 「だって、まだ着れるのに勿体無いじゃないですか」 「そ、それはそうかも知れんが……っ、それにしたって女の子がそんな無防備な格好しちゃダメだろ!?」 「大丈夫ですよ。“こんな格好”見せるのは、兄さまにだけ……ですから」 珠希ちゃんは少しだけ恥ずかしそうに、それでいてきっぱりとした口調で言う。 俺にだけ……ってのは、“家族”だから多少だらしないところを見られても平気、ってことか? それとも“兄貴”として信用されてるってことなのか。 言われてみれば当たり前のことだ。 やっぱり、俺のほうが意識し過ぎなんだよな。相手は妹なんだから。 「分かったよ。でもいくら家族の前だからって、程々にな?」 「……はぁ……、……全然分かっていませんよね」 「へ?」 何故か思いっきり呆れられた感じでため息をつかれたぞ? 「……俺、何か変なこと言った?」 「兄さまは、へたれってことです」 …………三姉妹全員からへたれ呼ばわりされる俺って……。 くっ、なんかちょっと旅に出たくなってきた。 「まあ、そういうところも兄さまらしいですけど」 「それ……一応フォローなんですかね……?」 がっくりとうな垂れる俺に、珠希ちゃんはくすくすと笑いながらその後頭部を俺の胸に押し当てる。 「……あ、まだお髪が濡れているから、兄さまの服が……」 「ん。ああ、別にいいよ。すぐ乾くし」 珠希ちゃんの濡れ髪の水分を吸って俺のシャツが少し湿ってしまったが、別段気にする程でもない。 「でも……。……そうだ、兄さまっ。お髪を拭いてください」 そう言って、にこにこと首に掛けていたタオルを俺に手渡してくる。 「な、何で俺がっ?」 「昔はよくこうやって拭いてくれましたよね?」 うん、確かに6歳の珠希ちゃんにはそんなことをしてあげた記憶もあるが。 「それは小さい頃の話だろっ? 今の歳になって、それは……」 「ふっ……お姉ちゃんの頭は撫で撫でできて、私のお髪は拭けないなんて、一体どういう了見なんでしょうね?」 「よしッ、任せろ!」 二つ返事で快く承諾してやった。 ――っていうか、いつから見ていたんだお前は!? 襖の隙間からずっと覗いていた姿を想像すると凄ぇ怖いんですけど!? 涙目半分、ヤケクソ半分で、わしわしと大雑把に拭いてかかると。 「ひゃん。もう少し優しくしてください」 「わ、悪い」 即座に珠希ちゃんに駄目出しをされる。 ……何ていうかもう、妹と兄というよりは、お嬢様と召使ですよね。この立場。 仰せのとおりに、少し力を弱めてやる。……それこそ撫でるくらいに。 「……こんなもんでいいか?」 「はい……とっても、気持ちいいです……♥」 そこだけ聞けばエロゲーの台詞のようだが、無論そんな色っぽい状況ではない。 むしろ、こうしていると、お風呂上りの6歳の珠希ちゃんの頭をバスタオルでごしごしと拭いてやった光景を思い出す。 そう思うと、この膝の上で揺れる柔らかい感触も、不思議とあまり意識しなくなっていた。 ――どのくらいの時間、そうしてやっていただろう。 俺の胸にもたれ掛かる珠希ちゃんの重みが、段々と増してきたかのように思うと。 「…………すぅ……、……すぅ……」 いつの間にか、膝の上の妹姫は安らかな寝息を立てていた。 小さい頃から確かに寝つきのいい子だったが、この状況でも寝るのかよ。 でもまあ、俺も床屋で眠くなるほうだし、気持ちは分からんでもないか。 それに、何だかんだ言ってバイト帰りだったし、疲れているのかもな。 ……少しくらい寝かせておくか。 俺は慎重に体をずらし、起こさないようにゆっくりと珠希ちゃんの体を俺の座っていた座布団の上へ横たえる。 まあ、こいつは一度寝たらちょっとやそっとじゃ起きないから、そんなに気をつけなくても大丈夫だったかも知れないが。 そして、体を冷やさないよう、部屋からタオルケットを持ってきてそっと掛けてやった。 こうして眠っている顔は、本当に子供みたいであどけないんだけどな。 この子はまるで気紛れな猫のように、天使へ、小悪魔へとその表情をくるくると変える。 まったく、本当に困った妹だぜ……色々な意味で……。 ☆ 俺は、静かな寝息を立てる珠希ちゃんの横で再び参考書を広げた。 すると、10分も経たないうちに玄関が開かれる音がする。どうやらまた誰か帰ってきたようだ。 「――ただいま、兄さん」 お茶の間の引き戸を開けたのは、黒猫だった。 今日の服装は、夏コミバージョンの私服。上着は着ておらず、ノースリーブで涼しげな装い。 流石にバイトに行くのにネコミミまでは装着していないようだ。 「おう、お帰り。お前も今日は早上がりなんだな」 時計は午後3時半に差し掛かろうというところ。 いつもなら帰ってくるのは夕方だから、2時間くらいは早い。 理由は訊くまでもなく、珠希ちゃんと同じだろう。 「ええ。……あら、珠希、寝ているの?」 「ああ、帰ってきてシャワー浴びたらここで寝ちまって。バイトで疲れてるんじゃないか?」 多少端折ったが嘘は言ってないぞ? 「まったく……仕方がないわね」 小さくため息をつく。 珠希ちゃんの寝付きのよさと寝起きの悪さは黒猫も熟知しているから、無理に起こそうとは思わないようだった。 「このタオルケットは、兄さんが?」 「ん? ああ、湯冷めして風邪でもひいたらあれだからな」 「……ふふっ、相変わらず優しいのね……京介」 そう言って、穏やかに微笑む黒猫。 その暖かな笑顔に、不覚にも一瞬見惚れてしまう。 日向も、珠希ちゃんも、ここでは可愛い『妹』だが、やっぱり黒猫は特別だ。 可愛い『妹』ではあるが、それ以上に、大切な『恋人』でもある。 それは今はまだ、俺と黒猫だけの秘密だったりするのだが――。 「……そ、そんなんじゃねえよ。当然だろ、兄貴として」 「フフッ、そうね。気が利く『兄さま』ね」 今度はくすくすとからかうように笑う。 そうして黒猫は台所のほうへ歩いていき、冷蔵庫から作り置きの麦茶をコップに注いでこくこくと飲み干した。 「兄さんも飲むかしら?」 「いや、俺はいいよ」 「そう。そういえば、日向は出掛けているの?」 「ああ、買い物に行ってる。でも、そろそろ帰ってくる頃じゃねえかな」 「そうなの。……それなら、先に私もシャワー浴びてこようかしらね」 使い終わったコップを手際よく洗い、お茶の間を出て行こうとする。 と、襖の前で足を止め。 「私がシャワーから上がったら、珠希を起こしてもらえるかしら。支度をさせないといけないから」 「ん、了解」 寝起きの悪い珠希ちゃんを起こすのは、いつも俺の役目。 このあたりは、兄妹の阿吽の呼吸だ。 俺の返答に満足げに口元を緩め、黒猫はお風呂場へと向かっていった。 ……言っておくが、覗かないからな? (if・俺の妹猫がこんなに可愛いわけがないⅡ(後編)へ続く)
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「どうした様刻くん、君の手番だよ」 「…………」 「まさか君ともあろうものがこの局面で悩んでいるわけではあるまい、ここはどうみても2二飛成か6五飛だろう。要は攻めるかかわすかだ」 動きの止まった僕を見ながら病院坂は訥々と話す。 「それともまさか様刻くんは飛車を捨ててまで新しい局面を産み出そうというのかい? 今この状況は捨て身に出るほどのものとは思えないが」 僕はため息をついた。 顔を上げて病院坂に向き直る。 「何で僕たちは保健室で将棋を指しているんだろうな…………」 「ん? 君が妹さんと下校時間を合わせるための暇つぶしではなかったか? まさかそれは嘘で僕に会いたかったとなれば喜びの極みだがそんなことはないのだろう?」 確かに委員の仕事がある夜月と一緒に帰ろうと思っていた。 暇つぶしにここに来たのも事実だ。 が、問題はそこではない。 「少しメタなことを言わせてもらうけど、どうして僕たちの日常がこのスレに書かれているのかってことさ」 「メタな質問にはメタな答を返させていただこう。刀語の七花×とがめがいまいち反応薄くて打ち切りになったからさ。自重中で化物語が書けない以上僕たちに焦点が当てられたというわけだ」 「……一応僕には琴原りりすという恋人がいるんだが」 結局僕は6五飛を選んだ。 まだ敵陣に切り込むには早過ぎる。 あっさり飛成を許すほど病院坂は弱くない、何かしら罠があると見ていいだろう。 「でも君は僕を好いてくれているのだろう? そして僕は君が好きだよ。今までの人生で出会った中で一番」 飛車の斜め前に先ほど交換した角を打ってくる。 しばらくはお互い読み切っていた展開なので淀みなく進む。 が、しばらくしてピシリ!と一際大きな音を立てて駒が置かれたとき、僕の動きが再び止まった。 「4五桂…………だと?」 まったく予想だにしなかった手に驚く。 そんな手があるのか? その手の意図を読もうとしたとき病院坂は勝ち誇ったように言う。 「というわけで様刻くん、この勝負に僕が勝ったら僕を抱いてもらうよ」 「ある程度局面が進んだところでそんなことを言うのはどうかと思うぞ。僕が勝ったらどうするんだ?」 「ふむ…………その時は僕を好きに抱いてよい」 「おんなじじゃねえか」 平静を装ったものの、僕の目は盤面に釘付けになっていた。 完璧だ。 今のこの一手で決着がついた。 どう頑張っても負けるルートしかない。 僕は持ち駒を盤面に落とす。 「ありません、負けたよ」 「おや、随分諦めがいいな。まだ粘れるとは思うが」 「無駄だろうよ、ここは男らしく負けを認める」 「ふむ、いい心掛けだ」 病院坂は将棋盤を片付け、座り直す。 満面の笑顔を僕に向け、両腕を広げた。 「ならば男らしく僕を抱いてくれるのだろうね」 だから約束なんかしてねぇっての。 でもまあ。 夜月との待ち合わせまでまだまだ時間もあるし、僕もこいつが嫌いではない。 据え膳食わぬはなんとやらだしな。 決して体操着を押し上げる形のよい巨乳に惹かれたわけでもブルマから伸びるすらりとした白い脚に魅入られたわけでもないことをここに記しておこう。 僕は病院坂をベッドに押し倒して唇を合わせた。 そのまま覆い被さってむにゅむにゅと両胸を揉みしだく。 うん、やはり巨乳は素晴らしい。 琴原や夜月では絶対に味わうことのできない感触。 舌を絡め合いながら僕はその柔らかさを堪能する。 唇を離すと口周りの唾液をぺろりと舐めとった病院坂がくすくすと笑う。 「様刻くんは随分と僕のおっぱいがお気に入りのようだね」 「……前にも言ったろ。僕は大きい胸が好きなんだよ」 頬を上気させた病院坂にちょっとドキッとしながら僕は体操着を捲り上げる。 ぷるん、と擬音を発しそうなほど大きな胸が揺れた。 「んっ……」 その胸に触れようとする前に僕は呻き声をあげる。 病院坂がズボン越しに僕の股間に触れたのだ。 「これはこれは。僕のおっぱいだけでこんなにも興奮してくれたのかい? 実に嬉しいね」 そのまま内腿や尻の方まで撫で回してくる。 気持ちいいのだが中途半端でもどかしさを感じてしまう。 が、僕が何か言う前に病院坂が再び言葉を発する。 「よし、そんな様刻くんに大サービスだ。よければ挟んでやろうかい?」 「挟むって……何を?」 まさか。 「もちろん決まっているではないか、君のはちきれんばかりに大きくなったものを僕のおっぱいで挟んであげようというのだ。世間一般ではパイズリと呼ばれるプレイだな。どうだい?」 「え、あ、うん」 巨乳好きなら一度はやってみたいと思うが、ついぞ機会がなかった。 いざ機会に恵まれると戸惑ってしまい、言葉が上手く出てこない。 「感謝したまえよ、これは本来とても高い料金なのだから」 そういえばこいつは売春してるんだっけ。 もう充分な資金は貯まったとか言ってたから最近は控えてるらしいが、真相なんかどうでもいい。 結局僕が病院坂を好きなのに変わりはないからな。 「……ちなみにいくらなんだ?」 「知りたいかい?」 ふふっと病院坂は悪戯っぽく笑う。 そして口にしたその金額に僕は驚く。 「高すぎるぞ! 一介の高校生が払える金額じゃないぜ!」 「うむ、一番高い料金だからな。だから誰も僕のおっぱいでしたことはないのだよ」 「どうして……僕にはしてくれるんだ?」 「君が様刻くんだからだよ」 病院坂は僕の目をじっと見据えながら言う。 「君が僕の大好きな様刻くんだからしてあげたくなったのだ。僕の初めてのおっぱい、受け取ってくれるかい?」 そう言って病院坂はブラのホックを外す。 締め付けから解放された胸が揺れる。 僕は無言のまま病院坂にキスをし、すぐに離れてズボンのベルトに手をかけた。 やがてびん、とそそり立ったモノが晒される。 病院坂の腹の辺りをまたぐようにし、胸の間に差し入れようとするところで制止された。 「ちょっといいかい様刻くん?」 「何だよ」 「やっぱりタダというわけにはいかないな」 「病院坂…………」 いや、ここまで来てそれはないだろう。 僕の表情を見て病院坂はくすくすと笑う。 「いや、なにも金を払えと言っているんじゃない。ひとつ条件をつけたいのさ」 「条件?」 「なに、簡単なことさ。こういう時だけでいいから君には『くろね子さん』と呼んでほしいな」 「…………わかったよくろね子さん」 ふふっと病院坂ははにかむ。 僕のモノに合わせて身体を少し動かし、胸の間に来るよう調整する。 「では行くよ」 言うなり病院坂は左右から脇を締めるようにぎゅっと腕で胸を押さえつけ、僕のモノを柔らかな脂肪で包み込む。 「あっ、うわっ、わわっ」 「どうしたんだい様刻くん、変な声をあげて」 病院坂はニヤニヤしながらぎゅむぎゅむと胸を押し付け、リズムよく上下に擦りあげる。 意識がぶっ飛びそうなほどの快感が駆け巡った。 「気持ちいいならいいと言ってくれると僕としては嬉しいのだがどうだい?」 「い、いいっ……くろね子さんの胸、気持ちいいっ!」 「ふふ、なんならこのまま出してしまっても構わないよ」 「う、うあああっ! あっ! あっ!」 戻る
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黒猫 SQL Studio で FireBird に接続するには、ODBCを使用します。 まずはODBCドライバをダウンロードしてインストールしましょう。 IBPhoenix Open Source ODBC Driver http //www.ibphoenix.com/main.nfs?a=ibphoenix page=ibp_60_odbc この説明では、Version 2.0 Betaを使用します。 インストールが終わったら準備OKです。 黒猫 SQL Studio を起動し、次の手順に従って接続してみましょう。 [データベース]-[ODBCアドミニストレータ]をクリックします。 [ユーザーDSN]タブの[追加]ボタンをクリックします。 ドライバの一覧から[FireBird/Interbase(r) Driver]を選択します。 [完了]ボタンをクリックします。 [Data Source Name]に任意の名前を入力します。 [Database]ボックスに、データベースファイルのフルパスを入力します。※リモートマシンにあるデータベースに接続するには、HostName C \Database\Sample.gdb のように指定します。 [Database Account]、[Password]を入力します。 [Test connection]ボタンをクリックして、接続をテストします。 [OK]ボタンをクリックします。 [ODBCアドミニストレータ]を終了します。 [データベース]-[データベースに接続]をクリックします。 [ODBC接続]タブに切り替えます。 作成したDSNを選択して[接続]ボタンをクリックします。 ご自由にコメントをお書き込みください すばらしいソフトありがとうございます。 Firebird-2.0.3.12981-1-Win32 Firebird_ODBC_2.0.0-Win32 を使って貴ソフトを利用したいのですが、 接続したあとに、右上のテーブル名の上に「SYSDBA」が 表示されており、「右クリックによるSelect等のSQL発行」 をすると必ず「SYSDBA.テーブル名」のSQL文が作られます。 その為、その文を実行すると必ずエラーとなっています。 「SYSDBA.」が付かない方法があるのでしょうか? ご教授よろしくお願い申し上げます。 -- oshimi (2009-01-22 08 39 08) ありがとうございます。 非常に助かりました。 -- コバパパ (2016-04-05 13 23 16) 名前 コメント
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kirino_kousaka こんばんわー kuroneko_daten こんばんは (RT @96buta_ss 黒にゃん、きりりん、メリークリスマス!私は聖なる日に千葉(せんよう)の地へ聖地巡礼しに行きます!お二人の予定は?) kuroneko_daten ケーキを作って、家族と一緒に食べたわ (RT @Hanyuda_Jun 今作は前作の修正 追加だと言ってますが、前作を買ったけど今作も買うべきですかね?(多分買うけど) @kuroneko_daten) kuroneko_daten 原作者の書き下ろし部分が倍増しているから、前作あやせルート加奈子ルートあたりが気に入ってくれたのなら買うべきね (RT @lunap9 かってきたよ! http //t.co/xxIuIn6p) kirino_kousaka さんきゅー。このジャケ絵いいよね~。 kirino_kousaka 今日は噂のマスコットキャラ『桐乃?さん』について。 kirino_kousaka 『桐乃?さん』ってゆーのは、『俺の妹P続』宣伝隊長をつとめてくれてる……えっと……説明が難しいな。 kirino_kousaka とりあえずコレを見て! http //t.co/2YaoKthb kuroneko_daten うわ……いえ……こほん……な、なかなか本人の特徴をとらえているわね。 kirino_kousaka ぶっちゃけ、あたしはこの企画について、どーゆう態度を取ればいいのか正直決めかねていたりする。 kirino_kousaka えっと、これからも色んなイベントに突撃してくれるらしいから、期待してて。 kuroneko_daten いきなり『電撃ホビーマガジン』の1日編集長だなんて……この桐乃?さんとやら……もしかして結構……賭けている企画なのかしら? kirino_kousaka そんなのあたしもまだやったことないよ!>1日編集長。 桐乃?さんスゲー……。 (RT @yami626 黒猫?さんはないんですか!?) kuroneko_daten なくてもいいわ (RT @sennin_stone 黒猫さん、こんばんは〜。この時間まで起きて勉強している受験生に一言エールをお願いします。) kuroneko_daten 頑張っているわね。身体を壊さないようにして頂戴。 (RT @tanakasann617 半額になったクリスマスケーキとシャンメリーを一人で食べてる非リア充の自分にもエールをお願いしたいです・・・) kuroneko_daten 賢い選択ね。私も鶏のモモ焼きを半額で買ったわ。 (RT @LunaticEndless 実は今日誕生日なのです。良かったら一言お願いいたします) kuroneko_daten 誕生日おめでとう。この時期イベントがたくさん重なって大変そうね。 kuroneko_daten ……ところで桐乃?さんの頭部パーツが机の上に置いてあったりしたら、ちょっとしたホラーよね。 kirino_kousaka し、しれっと怖いこと言うなぁっ!? 想像しちゃったでしょ! kuroneko_daten 今度あの人の部屋に、桐乃?さんの頭部を仕込んで、どういう反応をするか見てみましょう。 (RT @Vairis777 きりりん、俺妹コンプってメルルのFullバージョンが入ってるって聞いたんだケド、マジ?) kirino_kousaka マジだよ。
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桐乃 「あたし、高坂桐乃! よろしくね、ひなちゃんたまちゃんっ!」 日向 「あー、もしかして噂のビッ……」 桐乃 「び?」 日向 「……じゃなかった、こほん。よろしくっ、高坂さん! ――だと高坂くんと紛らわしいから、桐乃 さんって呼んでもいい?」 桐乃 「ええ~、そんな遠慮しないで『おねえちゃん』って呼んでくれていいよぉ?」 珠希 「きりのおねぇちゃん」 桐乃 「……えっ」 珠希 「きりのおねぇちゃんっ」 桐乃 「……な、ななっ、……何この理想の妹っ! ってかこの子アタシの生き別れの妹だよね!? 今スグ持って帰る!!」 黒猫 「お、落ち着きなさいこの誘拐犯っ。……絶対にこうなると思っていたから、あなたを妹に会わせたくなかったのよっ」
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『五更家に招待』の感想。同じ声のキャラが三人も……。カオスですね。中の人も大変だ……。人見知り度MAXらしい珠希ちゃんが、一種高圧的な態度で接する小鳩ちゃんとどうやって仲良くなったのかも気になるところですね。それにしても、小鳩ちゃんの兄に対する黒猫家の感想がなかったのも気になるなぁ。台詞ないのも哀れですが。文中の句読点が混在していること、また文末に句点がないのが読みにくかったです。また、各キャラともそれぞれ個性的な性格をしているので、台詞の前にキャラ名を書かなくても大丈夫かとは思いました。(私がキャラを知っているからかも知れませんが……)●誤字・脱字>年齢特有のの症状→年齢特有の症状 -- (名無しさん) 2012-01-31 14 37 02
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kirino_kousaka こんにちわ kuroneko_daten こんにちは kirino_kousaka セガプライズ エクストラメイドフィギュア二種がうちに届いた! メイドきりりんやっべー! 萌え萌え! (RT @AlluringVoice エクストラメイドフィギュアGETしました!) kirino_kousaka いいとこに飾ってね! kuroneko_daten 我が家には、COSPATIOの『黒猫コスチュームセット』が届いたわ。……すでに自作のものがあるというのに……。 kirino_kousaka 妹ちゃんたちに着せるフラグktkr kuroneko_daten ……サイズ的に、着せるとしたら日向ね。 kirino_kousaka よし、あたしに任せろ。こいつは面白くなってきたぜ……! kuroneko_daten そんなにはりきらなくていいのよ? でも、その作戦がうまくいった暁には、珠希用の衣装も用意する必要がありそうね。仲間はずれにするわけにはいかないわ。 kirino_kousaka 姉妹全員ゴスロリで暮らしていくといいよ(´∀`*)